デジタルスキル以上に、仕事や仲間に向かい合うマインドが大切
廣本一樹(※写真右)
デジタルアカウントディレクター
博報堂デジタルイニシアティブ ビジネスデザイン本部
長﨑慎吾(※写真左)
デジタルアカウントディレクター
博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局
「デジタルアカウントディレクター」は、クライアントのデジタルコミュニケーションをサポートするチームを束ねる役職です。最近では、デジタルとマスメディアを横断する案件も増え、マーケターとしての幅広いスキルが求められるようになっています。この仕事の面白さや、博報堂DYグループで働くことの醍醐味について、2020年にキャリア入社し現場でリーダーとして活躍する2人のデジタルアカウントディレクターに話を聞きました。
総合広告会社で自分の力を伸ばしたかった
─お二人とも、博報堂DYメディアパートナーズに入社されたのは2020年7月とのことです。以前のお仕事と転職の経緯についてお聞かせください。
廣本
2010年に新卒で広告会社に入社して、不動産や金融系クライアントのデジタル広告を担当しました。その後、2013年に大手広告会社に転職し、そこでもデジタルメディアを活用したブランディングなどの仕事を経験しました。博報堂DYメディアパートナーズが3社目になります。
前の会社で働いているときは、仕事を通じてデジタルのスキルを身につけることができたという実感はあったのですが、一方で、関わる案件のスケールや携わる領域をもっと広げていきたいという思いもありました。あるとき競合プレゼンで博報堂グループと競うことがあったのですが、正直レベルが高いなと感じました。提案に深みがあり、ストーリーのつくり方がほんと上手なんです。博報堂グループに行けば、自分のスキルをもっと伸ばせるかもしれないし、もっとスケールの大きな仕事に関わりたい。そう考えたのが転職の理由です。
長﨑
僕は2012年に大手印刷会社に就職して、営業担当として小売りの店頭戦略立案や制作・製造ディレクションなどといったリアルな売場でのマーケティング支援をメインに6年間取り組んできました。その後2018年に、デジタル専業代理店に転職しました。そこでは、ダイレクトマーケティング領域の広告運用や、メディアプランニングに携わりました。昨年7月に博報堂DYメディアパートナーズに入社したあとも、デジタル領域の業務を主に担当してきました。
印刷会社で働いていた頃から、マーケターとしてキャリアを築いていきたいという思いがあって、そのためには今後間違いなく伸びていくデジタルのスキルを身につけなければならないと考えていました。印刷会社でSNSを使ったデジタルキャンペーンに関わったこともあったのですが、会社全体がデジタルに舵を切っていたわけではなかったため、デジタル領域の豊富な知見が社内にはあまり蓄積されていませんでした。そこで、デジタル専業代理店に転職して、デジタルのスキルアップを目指したわけです。
そこから博報堂DYメディアパートナーズに転職したのは、専業代理店で身につけたデジタルのスキルを土台にして、さらに広いマーケティング領域に関わりたいと思ったからです。マーケターとしてできることを増やすには総合広告会社で働く必要がある。そう考えました。
入社後1年でマネジメント職に
─入社してから1年ほどの間で、苦労したことはありましたか。
廣本
一つの案件に関わる人数が多いことに最初はやや戸惑いました。そのくらいですね。新しい環境に溶け込むのに苦労したということはまったくありません。
長﨑
僕も同じですね。チームの雰囲気も良く、スムーズに現場に溶け込めたので、コミュニケーション上の悩みなども全くありませんでした。
─現在の仕事内容についてお聞かせください。
長﨑
この4月から、博報堂DYグループの新しいソリューションである「AaaS(アドバタイジング・アズ・ア・サービス)」を推進する仕事をしています。デジタルだけではなく、テレビなどのマス領域の知見も必要とされる仕事なので、一つひとつ勉強しながらキャリアの幅を広げていっている感じです。
主に担当しているのはメディアプラニングです。クライアントから提示された広告予算とKGI、KPIをもとに、どのようなメッセージを誰にどこで伝えていくのかを考え、メディアごとに予算を割り振りし、広告効果を最大化するための戦略を描く。そんな仕事です。
廣本
僕も基本は同じですが、最近マネジメント職に就いたので、そこにマネジメントの仕事が加わっています。
─入社して1年でマネジメント職というのはすごいですよね。
廣本
マネジメント職になるにあたって上司から言われたのは、「君が現場の仕事ができることはわかった。でも、一人でできることには限界がある。自分ができることをほかの人に伝えていくことも大切じゃないかな」ということでした。その言葉にはとても納得感があって、確かに自分のことだけで精一杯ではだめだなと思いました。
今後企業で働くにあたって、デジタルスキルだけではなかなか差がつかなくなると僕は考えています。デジタルのことがわかった上で何ができるか。そう考えたときに、マネジメントスキルはとても強力な武器になると思っています。デジタルのスキルがあってマネジメントもできるという人はまだまだ少ないのが実情とも。成長の機会をいただけたので、これからマネジメントの力をしっかり磨いていきたいと思っています。
お手本にできる人が周りにたくさんいる
─博報堂グループに転職しての実感をお聞かせください。
廣本
何よりよかったのは、リスペクトできる人が近くにたくさんいるということです。例えば、提案資料のクオリティひとつとっても、本当にレベルが高いと思います。自分がつくった提案資料を上司に添削してもらうと、本当に見違えるほど分かりやすくなったりします。ビジネスパーソンとしてお手本にできる人が何人もいる。それがこの会社に来て一番うれしかったことですね。
長﨑
僕は二つのことを感じました。一つは、前職のデジタル専業代理店で身につけたデジタルの知見が博報堂グループでも強い武器となると実感したことです。その一方で、自分の強みだと思っていたことが博報堂グループではまったく強みではないということもわかりました。
以前は、クライアントへの提案資料づくりにはまあまあ自信があったんです。でも、この会社に来てはじめてデジタル統括ポジションで参加した競合ピッチで、作成した資料をチームに共有したら即座に「下手」と言われました(笑)。ほかの人がつくった資料を見ると、廣本さんが言うように、本当にレベルが高いんですよね。今となると、過去に自分がつくった提案資料を見返すとものすごく雑に見えるぐらい、この1年間での自身の成長を感じています。
廣本
資料の見映えが綺麗なだけでなく、ストーリーのつくり方がうまいし、わかりやすいんですよね。
長﨑
そうなんですよ。参考にすべき点がたくさんあると思います。
─博報堂グループの文化や風土についてはどう感じていますか。
廣本
コミュニケーションが上手で、人当たりがいい人が多いですよね。だから人間関係のストレスはほとんどありません。それから、デジタルは急速に成長している領域なので、みんな生き生きと働いていると感じます。一方、組織としての成長率が高いぶん、人材不足は課題に感じます。早く新しい人に入ってきてほしいですね。
長﨑
「人がいい」というのは、まさに僕も同感です。それから雰囲気もすごくいいですよね。クライアントと向き合うビジネスプロデューサーの皆さんは、熱意をもって、妥協せず、クライアントのために動き回る。スタッフはそれを見て、熱意に応えようと前向きに頑張る──。そんな連携ができているので、チーム全体に活気があります。クライアントから「チームの雰囲気がいい」と褒めていただいて、それが受注につながったこともあります。雰囲気のよさは、間違いなく博報堂グループの強みの一つだと思います。
みんなに気持ちよく動いてもらえる環境を
─デジタルアカウントディレクターという職種に必要とされる知識やスキルとはどのようなものですか。
廣本
デジタルのスキルは最低限あればいいと思うんです。むしろ重要なのは、コミュニケーション力です。さっきも言ったように、関わる人がとても多い仕事なので、みんなに気持ちよく動いてもらえる環境を僕たちがつくらなければなりません。僕たちが雑なコミュニケーションをすると、チーム全体のパフォーマンスが雑になってしまいます。
とはいえ、特別な能力が必要というわけではなくて、ごく当たり前の対人関係スキルがあれば、それで大丈夫だと思います。あとは、自発的に課題を見つけて、その解決に取り組むといった姿勢があればなおいいですよね。
長﨑
もちろんデジタルスキルも大事ですが、それ以上にマインドやスタンスが大事だと僕も思います。仲間と積極的に関わり合って、自分の仕事以外のところでも仲間をサポートしていけるかどうか。そこが一つ大きなポイントな気がしています。
廣本
もう一つ加えるとすれば、案件全体を俯瞰できる目をもつことですね。デジタルスキルがある人ほど、細かな戦術や数字に意識が行きがちで、取り組み全体の目標が見えなくなる傾向があります。
長﨑
部分ではなく全体、手段ではなく目的を常に考えるということですよね。
─最後に、今後の目標をお聞かせください。
長﨑
現在のところ、「デジタルの知見をいかして活躍する」という博報堂DYメディアパートナーズ入社時の目標は着実に達成できつつあると感じています。この次のステップは、テレビなどを含めた統合プランニングのスキルを身につけることです。さらにその先には、印刷会社時代の店頭プロモーションの経験をいかして、リアルとデジタルとマスを融合させた総合的なマーケティングプランを立てられるマーケターになるという目標があります。その目標に向かって、一つひとつスキルを積み重ねていきたいですね。
廣本
組織への貢献という点では、先ほども言ったように、マネジメントのスキルを磨いて、人材育成などにも力を発揮できるようになることを目指しています。個人的な目標としては、「わかること」をもっと増やしていきたいと思っています。例えば、統計のことがある程度わかれば、それとデジタルを掛け合わせて、新しい価値を生み出すことできます。「わかること」が多ければ多いほど、掛け合わせの要素が増えるし、生み出せる価値の幅も広がる。そんなふうに考えています。
デジタルアカウントディレクター/パフォーマンスメディアコンサルタントのエントリーページはこちらからご確認ください。