2022.12.01

博報堂のグローバルは
これからもっと、おもしろい

山﨑 麻里子(※写真左) 金田 光春(※写真中央) 榎並 美夏(※写真右)

ビジネスプロデューサー
グローバルクライアント担当


博報堂では、グローバルにおいても活躍の場を広げています。現地で仕事をするのはもちろん、さまざまなバックボーンの社員が博報堂内にもいて、“ドラマ”が生まれる毎日です。グローバル業務のおもしろさや博報堂で働くことの魅力について、ビジネスプロデュース職(以下、BP職)として活躍する3人に語ってもらいました。 
 

海外未経験者でも成長し活躍できるチャンスがある

─これまでの仕事の歩みをお聞かせください。

榎並 千葉県生まれで、日本・タイ・香港・シンガポール育ちです。大学時代には、日本の学校に在籍しつつロサンゼルスに留学もしました。博報堂には2002年に新卒で入社。外資系ランジェリー会社の担当としてBP職で新卒配属されたのち、2005年に最初の異動で大手飲料メーカーの担当になってから、今でもそのクライアントを担当し続けています。はじめはお酒や飲料などの国内業務をやっていました。

2011年に、その大手飲料メーカーからグローバルリブランディングのピッチに声がかかったんです。帰国子女ということもあってアサインされて、それをきっかけに、グローバル業務に一気にシフトしていって、今は専任でやっています。グローバル業務の話を最初に受けたときは、青天の霹靂でした。ただ、BP職の経験も10年近くになって、ちょうど今後のキャリアを考え始める時期だったんです。戸惑いつつも、それまでに味わったことのない業務領域の体験と有能なグローバル人材との出会いに刺激を受けて、「グローバル業務を自分のドメインにしたい」と思うようになりました。

山﨑 私は大学卒業まで日本で過ごしました。大学時代に国際交流のサークルに入り、違う国の人と共同作業する楽しさを感じた経験が今の仕事の原点にあるかなと思います。博報堂に2003年に入社し、外資系飲料メーカーの国内業務などを担当したのち、2009年から現在までずっと、育児休業を2回取得しつつ化粧品メーカーを担当しています。担当し始めた当時から世界中で展開している日本発ブランドでしたが、さらにグローバル化が加速されました。日本だけでなく、グローバル全体・欧米向け・中国・APAC向けなどの相談が入ってくるようになり、その結果、私たちチームなりのグローバル業務のあり方を模索するようになりました。私自身はバイリンガルではないんですが、チームには中国人材も海外育ちのメンバーもいるので、メンバーの力を借りながらやっています。

仕事の原動力として、「日本で生まれたものを、世界に広げるお手伝いをしたい」と昔から思っているんです。アジアやロサンゼルスを拠点とするクリエイティブチームと仕事をした経験を通しても、国境を越えて仕事をする楽しさを感じましたし、「これからもグローバル業務に携わっていきたい」と思っています。

金田 僕も海外へ行った経験はなく、埼玉県で生を受けて、日本の大学を卒業しました。2005年に博報堂に入社し、最初に配属されたのは関西支社です。大手通信会社を3年半担当したのち、東京に戻って今度は飲料メーカーを担当しました。関西に行って東京でも仕事をした上で、「新たな土地でチャレンジしたい!」とキャリアを考え始めていたんですよ。自分の名前やスキルが通用しないところで挑戦したいなと。

そこで当時のキャリア制度に手をあげて、2011年から2016年まで上海に駐在することになりました。中国語も英語も僕はできなかったし、海外に行ったこともなかったのに、すごい会社ですよね。海外赴任が決まってから、会社のサポートを受けながら中国語・英語も習得しました。そののちいろいろな海外拠点と連携しながらインドネシアを中心としたASEANの仕事にも、中国発で携わるようになりましたね。

日本に戻ってからは、自動車会社を担当し、リージョナルダイレクターとして、フィリピン・インドネシア・ベトナム・タイ・中国の拠点アカウントのサポートをメインにしていたので、1年の半分くらいは海外出張に行っていました。

 

グローバルと国内は、違うゲーム

─グローバル業務のBP職のやりがいや楽しさはどのような点でしょうか。

金田 “正解がない”、“ゴールが一つではない”のが僕は楽しいかな。当たり前ですが拠点ごとにビジネス環境が大きく違い、自分の裁量が大きいんです。僕が海外に行ったのは30歳ぐらい。自分で競合プレゼンに勝って、人を採用して、利益を生み出すというビジネスの一連の流れを30代のうちから経験できました。グローバル化と言いながら、グローバルの定義もクライアントごとで違う。担当が変わると、また定義も変わる。でも、これがまたおもしろい。

榎並 海外の拠点と日本でも、違いますよね。

金田 そうですね、まったく違うゲームをしている感覚で僕は捉えています。たとえば海外はサッカー、日本は野球をしているみたいな。「サッカーの方が楽しい」と野球をやりながら言いませんよね。海外のおもしろさが日本に応用できないからと悲観的になる必要はない。日本なりのおもしろさがあり、さらに日本にいながらグローバル業務に携わるおもしろさもあると思い直せばいいわけです。ただしそれぞれの特徴の違いは肌で感じました。海外の方がシンプルで、努力が成果に直接つながりやすい。日本は、大きな仕事を一人で進めるというよりも、いろいろな業務を積み重ねて成果となって現れるイメージです。

山﨑 私たちのチームでやっているグローバル業務は、日本にいるクライアントと海外市場向けに施策を検討するのがメインです。グローバルを見ているクライアントの事業部と全体戦略を立てるのですが、海外拠点で考えている内容とギャップがある場合があります。私たちはグローバル本社側の大きな視座で動かなければなりませんが、金田さんがおっしゃったとおり、海外拠点のビジネスはグローバル本社側と違う論理で動いているんです。そのため、マクロとミクロを理解した上で仕事をするのが重要だと思っています。

 

─日本を拠点に動くメリット・デメリットはどんなものがあるのでしょうか。海外拠点に行く方がメリットは大きいと感じられますか。

榎並 海外業務に日本から私は携わっていますが、日本側からと海外拠点側からとではやることが違います。たとえば、日本企業の海外進出の場合、大きい構想やエリア・国ごとの事業戦略、グローバルアセット制作は、国内の本社と作り上げていくことが多いです。海外拠点では、どちらかというと、国内の本社が決めた方針に基づいた現地でのエグゼキューション業務が主となって。

またローカル業務については、金田さんの上海駐在時のように、海外拠点が主体となって現地で実施することがもちろん多いですが、日本側の予算で・日本を拠点に行うケースもあります。

最近は、クライアントが海外進出する際に、最初から現地法人を作って人を送りこむのではなく、テストローンチからスモールスタートさせる手法を取ることも珍しくありません。クライアントがテスト的に海外展開をする場合は、私たちもクライアントの国内予算で業務発注を受けて、駐在ではなく出張を基本として並走しながら整えていきます。そして、そのビジネスが現地で本格的に事業化するとなったら、拠点にアカウントを引き継げることが理想です。
そのため、今の私の役割は、クライアント・海外拠点それぞれを日本から俯瞰しながら、海外業務の創出や、拠点の支援を日本発で行うこと、そこからさらにエリア別や事業別でバラバラに動くプロジェクトを統括して、あるエリアのベストプラクティスを他エリアで活かせないか考えたりすることです。

一言でグローバル業務といっても、日本と海外のどちらに軸足を置くかによって、経験できることに幅があるし、それぞれの良し悪しがあると思います。

 

外国人・スペシャリストが集まるチームを動かすための工夫

─チームのリーダーとして気をつけていることはありますか。

山﨑 私たちのチームは、20数人中のうち男性が2人だけであとは女性というチームです。3人が中国人で、英語が喋れる人も多いです。海外拠点出身者もいて働き方や志が多様です。そのためマネジメント面では、ベストパフォーマンスをクライアントに提供することを前提に、メンバーのやりたいことを丁寧に聞き、いかに寄り添うかを考えていますね。

また博報堂や広告業界を好きになってもらうために、私たちが大事にする“生活者発想”の話もします。未経験者はもちろん、海外の方が日本で仕事をする難しさもあります。ですから、おもしろさや成長性を感じてもらえるように、“教える”ではなく、“自分も一緒に走りながらやっていく”ように気をつけています。

榎並 環境による違いは大きいですよね。私はカンパニーの横断組織に所属していて、メンバーはグローバル業務のスペシャリストばかり。また、必ずしも自分の部員と業務で並走するわけではありません。国内外一体運営の戦略クライアントを中心に、カンパニー内のグローバル業務を最大化するために、それぞれが主体性を持って行動する組織なので。だからこそ、自分のこれまでの経験や、自分のところに集まる海外関連情報をベースに、チームメンバーに共有・連携・サポートできることを模索しながら、チーム運営をしています。

また、自分がチームリーダーのときはメンバーに対して、必要なディレクションが行いやすかったんですが、間接的に関与する場合は、具体的な業務ディレクションを出すのはなかなか難しいですね。間接的に関与するメンバーとは、定期的に1on1やチームランチを実施して、精神面や業務実態の把握をしながら、自分の経験からのサジェッションや国内外のグローバルリソースの紹介をすることが多いです。

 

ダイバーシティや違いがあるから、グローバル業務はおもしろい

─チームの雰囲気や育成について教えてください。

榎並 帰国子女や留学経験がある人だけでなく、純粋にグローバル業務をやってみたいと思って飛び込んできた人と一緒にやっていけるのもいいですね。博報堂は“粒ぞろいより、粒違い”という人材育成の方針を持っていて、いろいろな人がいてフラットに意見が飛び交うのが、おもしろいです。バックグラウンドが違う人ばかりで、担当している企業もみんなそれぞれ別々。そのようなダイバーシティがおもしろさにつながっています。

金田 僕らのチームは、国内と海外の領域を一体で見てほしいとクライアントからいわれています。グローバル業務をやりながら、国内業務も見ないといけない。そのため国内業務の担当者が、グローバル業務も経験するような調整が必要になります。

特に国内業務は、市場からのフィードバックがしっかりあるじゃないですか。ですがグローバル業務はフィードバックをなかなか感じにくいんですよ。どのような売られ方をしてどのような反応があったか、肌感覚として伝わってこない。これが難しいところです。ですから僕はチームメンバーに積極的に現地まで出張に行ってもらっています。最初は本人も初めての長期海外出張に困惑していたものの、2か月経ったころには「次は別の国に行きます!」と言ってくるわけですよ。すごく成長してくれています。駐在までしなくても、短期間でも現地で働いていく中でグローバル業務の楽しさを感じとったんでしょうね。現地の人と接した経験がないと、「なぜこの国の人たちは言うことを理解してくれないの?」になるじゃないですか。

山﨑 わかります。距離ができてしまうと特に、現地の人の考えが想像できなくなるから。金田さんのチームのような動きが取れるのは、博報堂として掲げる“パートナー主義”の立ち位置でクライアントと向き合えているからなのかなと思います。

あとは、世界のトップクリエイターと仕事する機会があるのもおもしろさです。2年目ぐらいの若手社員が、アジアのトップクリエイターとチャットでクリエイティブな話を交わしながら進めているプロジェクトがあったり、「ジャパニーズネスとは何か」について、ロサンゼルスで話し合うみたいなこともあったりします。稀有な経験ができる環境やチャンスがあると感じます。

 

自分がどうしたいかが、鍵。

─博報堂で取り組むことの魅力はどのような点だと思われますか。

金田 博報堂のグローバル業務はまだまだこれからです。だからこそ、おもしろいと思います。たとえば若手社員に海外経験を積んでもらいつつ、レピュテーションを築いていってもらう。普通は若手社員がいきなり海外拠点へ行っても何もできないと思うじゃないですか。でも「行くからには何とかしよう!」となるのは、博報堂ならでは。若手のときから任せてもらえるチャレンジングな環境は、貴重だと思います。

山﨑 成長していく中で重要なのは、「自分がどうしたいか」。何を見つけてきて何を作るかは、自分次第になります。それがおもしろさ。クライアントやブランドの状態を踏まえて、考え抜いて自分たちなりの答えを出します。思い通りにいくこともあれば、そうじゃないときもある。だけど、自分の責任でやれるところが博報堂の良さではないかと思います。

榎並 新しいことに挑戦できて、一人ひとりの裁量も大きい。グローバル業務をメジャーにしていくミッションは、博報堂の未来にも貢献していると感じています。グローバル領域における博報堂自体のプレゼンスが上がるように、海外業務に関わるみんなで前進している過程にあると思っています。少しずつだけど、着実に努力が実りはじめ、アジア・ASEANのピッチでは声がかかる機会も増えてきました。

 

チャレンジ精神と、逆境をドラマとして楽しめる心

─グローバル業務のBP職をやる上で求められるものは何だと思いますか。

金田 自分のエクスペクテーションを超えたアンエクスペクテッドな経験を楽しいと思えるかどうかですね。自分の思っているようには、たいていのことが進まない。それを楽しむ精神が必要です。

お二人にもエピソードは多くあるんじゃないですか!? 話せないドラマもいっぱい。日本なら自分ですべてマネージできることも、海外のメンバーでやっていると想定外のことが起きたりして。だから“胆力”というか、“気にしすぎない力”は必要かもしれません。

榎並 “逆境に強い”のは、私たち三人ともに共通しているところじゃないですかね。あとは、“与えられた環境を楽しむ力”と“人好き”であることも大切かも。海外に出ると、違いがある・わかってもらえないのが前提だったりするので。たとえば、伝え方を考えずにリクエストやディレクションをすると、全然伝わらなかったり、受け入れてもらえなかったりします。日本で仕事をしているときとは比べものにならないぐらい、一つひとつのコミュニケーションに労力がかかって、日本人の美徳である「暗黙の了解」は通用しないことを痛感します。でも、その分、通じ合って形にできたときの感動もひとしおです。

山﨑 “チームで働くのが楽しめる”のも重要です。グローバル業務だとなおさら。協業者がなにを考えていて、どのクオリティが正しいと思っているのかが実は両者でそろっていないこともよくある話ですので、徹底的にコミュニケーションすることが大事。また、グローバル業務はアンコントローラブルなことばかりです。だけど、クライアントのために企画・実行をしっかり進めるのが大前提。大変なことがあっても「次につながる経験値を重ねられたね」と楽観的になってくるんですよね。

 

応募者へのメッセージ

榎並 日本の素敵なところを、海外から見て私は感じてきました。博報堂は日本の広告会社なので、クライアントの海外進出を手伝うのは、日本のブランドや商品の魅力、それこそ“日本の文化を世界に広める仕事”だと思っているんです。日本の良さを海外に広めたいという思いに共感してくれる人と一緒に働きたいと思っています。

山﨑 すごいブランドや技術を持っているクライアントと夢を一つにして、最大パフォーマンスで貢献していくことがこの業務の醍醐味です。クライアントに寄り添いつつ、そこに自分のやりたいことを重ねていくことに喜びを感じられる人が向いていると思います。特にキャリア採用で入ってくる人は、どこかで働いた経験がありますよね。その経験を生かしつつ、「自分が何をしたいか・できるか」を考え、実現に向けて行動できる人がいいですね。

榎並 中には英語ができる人や帰国子女の仕事と思っている人もいるかもしれません。もちろん語学があればベターですが、実際は、「日本のいいところを世界に広めたい!」というシンプルな動機を私は大事にしたいです。海外に出ていったときは商品のUSP(Unique Selling Proposition)を伝えるだけでなく、ジャパニーズプロダクトだからこそ、日本らしい文化・慣習・体験などと紐づけて世界に伝えていく工夫をしているんですよね。そこに私はやりがいを感じました。

日本のカルチャーや慣習とともに、クライアントのグローバルビジネスを大きくしていく。実現できれば、グローバル領域での博報堂のプレゼンスもより際立っていくと思っています。そして、そんな実績が増えていけば、社内でもグローバルビジネスがもっとメジャーになっていくのかな、と。

 また今回はアウトバンドの話が中心でしたが、外国のクライアントが日本に進出してマーケティングをするインバウンドグローバル案件も増えています。日本人のインサイトをよくわかる博報堂の“生活者発想”が強みになり、それもとてもやりがいがある仕事です。そんな両方のビジネスチャンスがありますので、ぜひお待ちしています。

金田 門戸が開かれているし、チャンスも多い。お伝えしたとおり、若手の裁量も大きい。クライアントをグローバル領域でメジャーにするだけでなく、博報堂も自分の力で世界の中でメジャーにしたいと思ってくださる人にぜひ入社してもらいたいです。


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※撮影場所UNIVERSITY of CREATIVITY